NASA、スペースシャトル「エンタープライズ」初公開──再利用型宇宙船の時代幕開けへ

【カリフォルニア州エドワーズ空軍基地 9月17日】

本日、アメリカ航空宇宙局(NASA)は、世界初の再使用型宇宙船「スペースシャトル・エンタープライズ」を正式に公開した。同機は今後の本格的な宇宙運用に向けた技術検証機として設計されており、スペースシャトル計画の最初の試験機として注目を集めている

公開されたエンタープライズ号は、ロサンゼルス近郊のエドワーズ空軍基地にて多くの関係者や報道陣の前にその姿を現した。白と黒の機体は全長約37メートル、翼幅約24メートル。外観こそ完成機に近いものの、宇宙空間への飛行能力は備えておらず、大気圏内の滑空試験に使用される

NASA関係者によれば、今後数か月にわたって「接地滑走試験」や「母機からの分離滑空試験」が実施される予定であり、これらの試験を通じて、シャトルの機体制御や着陸技術、安全性などの検証が行われる

なお、「エンタープライズ」の名称は、当初「コンスティテューション(Constitution)」とされる予定だったが、テレビドラマ『スタートレック』のファンからの多数の嘆願により「エンタープライズ」と命名されたという逸話も報じられている

スペースシャトル計画は、従来の「使い捨て型」ロケットとは一線を画す再使用可能な宇宙船の開発を目的としており、今後は人員や物資の宇宙輸送コストを大幅に削減することが期待されている

エンタープライズ号の実証を経て、最終的な実用機「コロンビア」や「チャレンジャー」などの開発も進行中であり、新たな宇宙時代の到来が現実のものとなりつつある

— RekisyNews 科学技術面 【1976年】

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次