ウォール街で爆弾テロ、38名死亡──正午の金融街に衝撃走る

【ニューヨーク 9月16日】

本日正午直前、マンハッタン南端・ウォール街にて、馬車に仕掛けられた爆弾が爆発し、少なくとも38名が死亡、約400名が負傷するという未曾有の惨事が発生した。爆発はニューヨーク証券取引所からすぐ近くのジョン通り交差点付近で起き、周辺の銀行や証券会社の建物の窓ガラスが粉々に砕け散るほどの威力だった。

当局によれば、爆弾は火薬と金属片を詰め込んだ馬車の内部に仕掛けられていたと見られる。爆発後、現場には血まみれの負傷者と、飛び散った馬車の残骸が散乱し、周囲は地獄絵図と化した。

爆発が発生した時間帯は、昼食に向かうビジネスマンや通行人で通りが最も混雑していた時間であり、犠牲者の多くは付近で業務に従事していた銀行員や事務員とされる。

連邦捜査当局と市警察は、事件を「計画的かつ政治的動機による爆弾テロ」と断定。現場付近では「ブルジョワ階級と政府を打倒せよ」と記されたビラが撒かれていたとの情報もあり、イタリア系アナキスト集団の関与が疑われている。しかし、犯行声明は今のところ出ておらず、実行犯は未特定のままである。

市民の間には不安と怒りが広がっており、証券取引所や銀行各社は明日以降の業務に向けて警備体制の強化を急ぐ構えだ。

大戦終結から2年余り、復興と繁栄を目指していたアメリカ経済の中心地を襲った今回の事件は、市民の自由と治安のあり方に深刻な影響を及ぼすものとみられる。

— RekisyNews 国際面 【1920年】

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