【スタンフォード 9月16日】
スタンフォード大学の研究プロジェクト「Folding@Home」が本日、分散コンピューティング史上初となる処理能力1ペタフロップス(PFLOPS)を達成したと発表した。これは1秒間に1000兆回の計算処理を行う能力であり、これまでにない規模の分散処理システムが実現されたことになる。
Folding@Homeは、タンパク質の折りたたみ構造をシミュレーションすることで、アルツハイマー病やがんなどの難病解明に寄与することを目的としたプロジェクト。その仕組みは、世界中の個人が所有するPCやゲーム機に専用ソフトをインストールし、インターネットを通じて計算処理を分担するというものである。
今回の記録達成には、特にソニーのPlayStation 3の存在が大きく寄与している。同機専用のFolding@Homeクライアントが今年3月から配布されており、全体の処理能力を一気に押し上げた。研究チームによると、登録されたPS3だけでピーク時で800TFLOPS以上の演算能力を提供しているという。
プロジェクトを主導するヴィジェイ・パンデ教授は、「家庭用ゲーム機が世界最先端の科学研究に貢献しているという事実は、21世紀の新しい研究スタイルを象徴している」とコメント。今後の目標としては、さらなる参加者の拡大と、計算結果の医学的応用を挙げた。
分散型でありながらスーパーコンピューターを凌駕する計算力を手にしたFolding@Homeは、科学研究の民主化という新たな潮流の象徴として、今後の進展が注目される。
— RekisyNews 科学技術面 【2007年】