新生メトロポリタン歌劇場、リンカーン・センターで華やかに開場

【ニューヨーク 9月16日】

アメリカ文化の象徴とされるメトロポリタン歌劇場(通称:MET)が本日、マンハッタンのリンカーン・センター内に新築移転し、開場記念公演を開催した。開場式典とともに行われた杮落としでは、サミュエル・バーバー作曲の新作オペラ『アントニーとクレオパトラ』が披露され、ニューヨークの芸術界を中心に国内外の注目を集めた。

1870年創設の老舗歌劇場であるMETは、これまでブロードウェイに近い旧劇場で長らく活動を続けていたが、老朽化と舞台設備の制約を受け、1960年代から構想されていた新劇場への移転が実現した。リンカーン・センターの中心施設として設計されたこの新劇場は、約3,800席を擁し、最新の舞台機構と音響設備を備える。

記念公演では、指揮にトーマス・シッパーズ、演出にフランコ・ゼッフィレッリを迎え、主演のレオンティン・プライスが圧巻の歌声で開幕に華を添えた。会場には大統領夫人ジャクリーン・ケネディをはじめ、各界の著名人が列席し、文化の殿堂の誕生を祝った

劇場のロビーには、マルク・シャガールの巨大な壁画が2点掲げられ、訪れた観客の目を引いた。美術と音楽の融合を目指したこの空間は、20世紀後半のアメリカ芸術の象徴として、今後も多くの名演を生み出していくことが期待されている。

— RekisyNews 文化面 【1966年】

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