【東京 9月16日】
本日、国営競馬を引き継ぐ新たな競馬統括機関として「日本中央競馬会(JRA)」が正式に発足した。これにより、戦後復興の中で再整備が進められていた日本の競馬制度が、民間に準ずる運営体制へと大きく舵を切ることとなった。
日本中央競馬会は、従来の農林省主導による国営競馬制度の見直しを受け、より効率的かつ透明性の高い運営を目指して設立された特殊法人である。主務官庁は引き続き農林省が担うが、組織内には理事会・監事・評議員会を設け、競馬開催に関する裁量や利益配分の透明化を図る構造となっている。
発足式は東京都内で行われ、農林大臣をはじめ関係官僚、競馬関係者、各新聞社の代表らが出席。「健全な競馬文化の振興と国庫への安定的な貢献を両立させる組織となるよう努力していきたい」と、初代理事長の前田光嘉氏が抱負を語った。
中央競馬の主な開催地である東京競馬場、中山競馬場、阪神競馬場、京都競馬場などは、引き続きJRAの管轄下に置かれ、全国の競馬ファンに向けたより洗練された運営とサービスの向上が期待されている。
戦前から続く競馬制度は、戦中・戦後の混乱を経て一時中断されたが、昭和23年に国営競馬として再開。以降、賭博性や公正性の観点から制度改善が続けられてきた。今回のJRA設立は、その集大成として競馬界にとって歴史的転換点と位置付けられる。
新たな競馬の幕開けに、全国の競馬関係者やファンからは歓迎と期待の声が上がっている。
— RekisyNews 経済面 【1954年】