世界初の“遠隔コンピュータ操作”成功 — 米ダートマス大学で歴史的実演

【ニューハンプシャー州・ハノーバー 9月11日】

 本日、米国ダートマス大学で開催されたアメリカ数学会の会議において、歴史的な科学技術の実演が行われた。ベル研究所の研究員ジョージ・スティビッツ博士が、ニューヨーク州にある同研究所の「Complex Number Calculator(複素数計算機)」を、ここダートマス大学から遠隔で操作することに成功した。

この実演には、テレタイプ端末と電話回線が用いられた。スティビッツ博士は、会場に設置されたテレタイプ端末から数式を入力し、約400キロメートル離れたベル研究所にある計算機に処理を依頼。計算結果は数秒後、再びテレタイプ端末に打ち出され、聴衆の前に現れた。

これにより、世界で初めて「コンピュータの遠隔操作」が現実のものとなり、会場に集まった数学者や技術者たちは一様に驚嘆の声を上げた。科学者の間では、「計算機の地理的制約を超えた新時代の到来」として、大きな関心が寄せられている。

スティビッツ博士は、「本日の成果は計算機技術の応用範囲を劇的に広げる一歩。今後は病院、大学、工場など、あらゆる場所からコンピュータを操作できる可能性がある」と展望を語った。

この成果は、今後の電子計算機ネットワークの原型として、後世に多大な影響を与えるとみられる。遠く離れた場所にある計算機を操作し、情報を双方向でやり取りするという概念は、まだ夢物語に近かったが、本日の実演がそれを一歩現実に近づけた。

— RekisyNews 科学技術面 【1940年】

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