仮想世界に揺れる現実 映画『マトリックス』日本で封切り、衝撃の映像と哲学が話題に

【東京 9月11日】

 アメリカで既に大ヒットを記録していたSF映画『マトリックス』(監督:ウォシャウスキー兄弟、主演:キアヌ・リーブス)が、11日より全国の劇場で公開された。現実と仮想の境界を揺さぶる斬新なストーリーと、革新的な映像技術は、日本の観客にも強烈なインパクトを与えている。

『マトリックス』は、現代社会に生きる若者・ネオが、仮想世界に閉じ込められた人類の運命を知り、やがて「覚醒」していく姿を描く近未来SF。人間が知覚している現実はすべて人工的に作られたシミュレーションであるという設定は、映画ファンのみならず哲学的関心を持つ層にも訴求力を持ち、インターネット掲示板や評論サイトでも早速議論が白熱している。

注目すべきは、いわゆる“バレットタイム”と呼ばれる撮影技法。銃弾がスローモーションで飛び交いながら人物がそれを避けるという映像は、観客から「これまで見たことがない」「まさに映画の未来を見た」との声が上がるなど、高い評価を受けている。特撮に詳しい映画評論家・小林氏は「香港アクション、アニメ、サイバーパンクなど、様々な要素を融合しながら、完全に新しい表現を作り上げている」と述べた。

主演のキアヌ・リーブスの存在感も際立ち、「救世主ネオ」としての静かなカリスマ性が作品全体を引き締めている。加えて、ローレンス・フィッシュバーン演じるモーフィアスや、トリニティ役のキャリー=アン・モスらのアクションも鮮烈な印象を残す。

初日の観客動員は都内主要シネコンで軒並み満席。若者層を中心にリピーターも早くも現れており、日本におけるSF映画の新たな金字塔となる可能性もありそうだ。

この作品は、単なる娯楽映画にとどまらず、「我々の現実とは何か?」という深遠な問いを投げかけている。観終えた観客の多くが、「自分が見ている世界が本当に本物か、ふと考えさせられた」と語っているのが印象的だった。

— RekisyNews 映画・文化面【1999年】

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