【マルセイユ 9月10日】
南仏マルセイユの刑務所にて本日未明、殺人の罪で死刑が確定していたアラブ系フランス人男性、ハミダ・ジャンドゥビ(27歳)に対する死刑執行が行われた。方法はギロチンによる断頭で、これは現在フランスで唯一認められている死刑の執行手段である。
今回の処刑は、昨年11月に発生した事件に端を発している。ジャンドゥビ受刑者は、恋人であった21歳の女性を拷問の末に殺害した罪で起訴され、今年早くに死刑判決が下されていた。上訴も棄却され、今月に入り大統領特赦の可能性も絶たれたことから、刑は確定していた。
執行は午前4時過ぎ、マルセイユのボーム・レ・ダム刑務所内にて行われた。報道関係者の立ち会いは許されなかったが、刑務所関係者によれば、「粛々と執行された」とのことである。
今回の処刑をめぐっては、フランス国内外で死刑制度の是非を問う議論が高まりを見せていた。特に、ギロチンという処刑方法に対する人道的懸念が根強く、欧州諸国の中では時代錯誤との批判も少なくない。処刑直後、パリでは人権団体による抗議デモも行われ、「近代国家として恥ずべき行為だ」との声が上がった。
政府関係者はコメントを控えているが、関係筋によれば、ミッテラン政権への交代後に制度の見直しが本格化する可能性もあるとされる。
なお、今回の執行はフランスにおけるギロチンによる処刑として記録される中で、最も近代に行われたものとなる。
— RekisyNews 社会面 【1977年】