フィレンツェの新たなる象徴、ついに姿を現す──ミケランジェロ作「ダビデ像」一般公開始まる

【フィレンツェ 9月8日】

 若き彫刻家ミケランジェロ・ブオナローティ(29)による大理石彫刻「ダビデ像」が、ついに市民の前にその全容を現した。本日、フィレンツェ市政当局の主導により、シニョリーア広場のパラッツォ・ヴェッキオ前に正式に設置され、一般公開が始まった。

この像は、旧約聖書の英雄ダビデがゴリアテと対峙する直前の緊張感ある瞬間をとらえたもの。高さは5メートルを超え、その肉体の緻密な描写と表情の迫力に、公開直後から人々の驚嘆の声が絶えない。

もともとこの大理石の巨塊は、幾人もの彫刻家たちが加工を試みながらも未完成のまま長年放置されていた。しかし、ミケランジェロはそれを引き受け、1501年より約2年半の歳月をかけて完成へと導いた。

公開初日となった今日、広場には多くの市民や芸術家たちが集まり、フィレンツェ共和国の自由と市民精神を体現する新たな象徴の誕生を祝った。市の重鎮たちも「この像は単なる芸術作品に留まらず、我々の理想と勇気の体現である」と語っている。

なお、像は今後もこの広場に恒久的に設置される予定で、夜間には松明による照明も施されるという。ルネサンス芸術の粋として、後世に語り継がれることは間違いない。

— RekisyNews 芸術文化面 【1504年】

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