モンタペルティの戦い、シエーナ軍が大勝 フィレンツェ軍、旗崩れ潰走

 【トスカーナ・モンタペルティ丘陵 9月4日】

本日、シエーナ共和国のギベリン軍がアルビア川を望む丘陵でフィレンツェ共和国のゲルフ軍と激突し、日没前に大勝を収めた。数で勝るフィレンツェは城門車「カロッチョ」を中心に横隊を敷き、鼓手と司祭が士気を鼓舞。対するシエーナはプロヴェンツァーノ・サルヴァーニらの麾下に、シチリア王マンフレーディ支援の独逸騎兵、さらに亡命フィレンツェ貴族のギベリン勢を加えて迎え撃った。正午過ぎ、長槍の密集と弩の矢が斜面で押し合いとなり、幾度も膠着が続く。

形勢が動いたのは夕刻、フィレンツェ側の旗手周辺で混乱が起こり、隊列が一気に波打った時だ。裏切りで旗竿が折れたとの声が走り、中央の騎兵が自壊的後退に転じると、シエーナの横撃が決まり、カロッチョは包囲ののち奪取された。川筋は落馬と破損した楯で埋まり、撤退路はたちまち塞がる。司令幕舎の印綬・太鼓も置き去りにされ、フィレンツェの高位者に戦死・虜囚が相次いだ。

勝利を得たシエーナは城門に黒白二色の旗を掲げ、鐘楼を打ち鳴らして帰還軍を迎える構え。明日にもフィレンツェ政体の再編が始まり、追放ギベリンの帰還、役所の改編と盟約の見直しが進む見通しだ。交易路と田園の支配をめぐる都市国家の角逐は、今日の一戦で天秤が大きく傾いた。戦場を赤く染めたアルビアの流れはなお濁り、丘の上には折れた槍の束と、勝者の喇叭の音だけが残っている。

— RekisyNews 国際・戦況面 【1260年】

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