日本初の五十円硬貨、本日より発行開始

 【東京 9月1日】

大蔵省は本日、日本で初めてとなる五十円硬貨の発行を開始した。戦後の経済成長に伴い、高額通貨の需要が急増していたことを受けて導入されたもので、これまで紙幣として発行されていた五十円札(B号五十円券)に代わる新たな決済手段として注目を集めている。

今回発行された五十円硬貨は白銅製で、直径25ミリ、重さ4グラム。表面には菊花紋章と「五十円」の額面表示、裏面には桐の花をあしらった意匠が施されている。これまでの硬貨と比べても高額でありながら軽量かつ扱いやすいのが特徴で、発表当日から全国の銀行窓口や郵便局で引き換えを求める市民が相次いだ。

大蔵省関係者は「経済活動の活発化と購買力の向上により、現金取引における高額通貨の需要が高まっている。五十円硬貨は紙幣よりも耐久性に優れ、長期的には流通コストの削減にも寄与する」と説明している。

銀座や新宿の百貨店では、早速この新硬貨を使った買い物客の姿も見られた。買い物を終えた主婦の一人は「紙のお札より扱いやすく、財布もすっきりする」と話し、新硬貨の利便性を歓迎している。一方で、まだ目新しさから受け取りを戸惑う店員もおり、現場では小さな混乱も起きているという。

今回の発行は、戦後のインフレを経て紙幣中心だった通貨制度を硬貨と併用する体制へと移行させる試みといえる。今後、百円硬貨などさらに高額の硬貨導入も検討されており、通貨制度の大きな転換点となる可能性がある。

戦後10年を迎えた日本経済は復興の道を歩んでおり、五十円硬貨の登場は市民生活と商取引の両面で新たな一歩となりそうだ。

— RekisyNews 経済面 【1955年】

アイキャッチ画像 As6673, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=5198927による

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