児玉誉士夫邸にセスナ機墜落 ―― ロッキード事件の渦中、俳優・前野光保が「自爆テロ」

【東京 3月23日】

本日午前9時過ぎ、東京都世田谷区等々力にあるロッキード事件の重要証人、児玉誉士夫氏の私邸に小型セスナ機が突入し炎上した。警視庁の調べによると、操縦していたのは俳優の前野霜一郎(本名:前野光保)で、離陸直後に「天皇陛下万歳」と無線を残し、児玉邸の2階寝室付近に意図的に突入した。前野は即死し、児玉邸の家政婦ら2人が負傷したが、別室で療養中だった児玉氏は無事だった。

前野は「七生報国」のハチマキを締め、神風特攻隊の飛行服を着用して調布飛行場から飛び立っていた。彼はロッキード事件における児玉氏の「裏切り」に激しい憤りを抱いており、「戦後最大の黒幕」と称された児玉氏に対し、割腹自殺ではなくセスナ機による特攻という過激な手段で処罰を下そうとしたものと見られ、汚職に揺れる社会にさらなる衝撃を与えている。

ロッキード事件の全容解明が待たれる中での暴挙に対し、当局は右翼団体による組織的関与の有無を慎重に捜査している。しかし、一人の青年が「国家への忠誠」を掲げながら、戦後政治の闇を象徴する巨悪へ体当たりを敢行したという事実は、政治不信に陥った国民の間で複雑な波紋を広げている。この事件は、民主主義のルールを逸脱した暴力の危うさを示すとともに、ロッキード事件が日本社会に刻んだ亀裂の深さを改めて浮き彫りにした。

— RekisyNews 社会面 【1976年】

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