【ミラノ 3月23日】
元社会主義者のベニート・ムッソリーニは本日、ミラノのサン・セポルクロ広場の一角にある実業家連盟の会議室において、政治団体「イタリア戦闘ファッショ(戦士のファッショ)」を結成した。第一次世界大戦の復員軍人や右派知識人、未来派の芸術家ら約200人が集まったこの集会は、後にイタリアを支配するファシスト党の出発点であり、世界を揺るがすファシズム運動の産声となった。
ムッソリーニは演説で、大戦の勝利に見合う対価を得られなかった「不完全な勝利」への不満を爆発させ、無能な既存の議会政治を激しく弾劾した。彼は、ナショナリズムと社会主義的手法を強引に融合させ、「行動による解決」を最優先する新たな政治運動の必要性を強調。結成された組織は、「黒いシャツ」を制服とする行動隊を擁し、共産主義勢力やストライキを行う労働者に対して暴力的な実力行使も辞さない不穏な構えを見せている。
戦後の極烈なインフレと失業、そして「赤い恐怖」と呼ばれる社会主義革命への不安に揺れるイタリアにおいて、この急進的な新勢力は急速に支持を広げる可能性がある。ムッソリーニは、「トータルな国家」の構築とローマ帝国の栄光復活を掲げ、既存の保守派やリベラル派を糾合する第三の勢力としての台頭を狙っている。ミラノの小さな一室で始まったこの運動が、イタリア、そして欧州全体の民主主義体制を根底から突き崩す導火線となるのか、政界は固唾を呑んで注視している。
— RekisyNews 社会面 【1919年】
