「所得税法」公布 ―― 負担の公平を目指し、高額所得者へ課税。日本の徴税構造が一変

【東京 3月23日】

第二次伊藤博文内閣は本日、日本の近代税制の礎となる「所得税法」を公布した。これは、従来の地租や酒税に依存した歳入構造から脱却し、個人の「所得」に対して直接課税を行う画期的な試みである。導入の背景には、急激な富国強兵策に伴う国家財政の膨張と、地主層から新興の商工業者層へと広がる富の偏在に対応する狙いがある。

今回の所得税は、年間300円以上の所得がある者を対象としており、全人口のわずか約0.2%、全国で約12万人程度の高額所得者のみが課税対象となる。このため、当初は「富裕税」的な性格が極めて強く、母体となる地租改正以来の不公平感を是正する象徴的な法律と位置付けられている。しかし、税務当局が個人の懐事情を直接調査し、自己申告を求めるという新たな仕組みに対し、プライバシーの侵害や資産の隠蔽を懸念する声が早くも一部の富裕層から上がっている。

政府は今後、申告納税の徹底を通じて国民の納税義務意識を高めるとともに、経済成長に合わせた安定的かつ弾力的な財源の確保を目指す方針だ。この所得税法の公布は、単なる増税手段に留まらず、日本が欧米列強と肩を並べる「近代的な租税国家」としての体裁を整えた歴史的転換点として、今後の社会経済に多大な影響を及ぼすことは間違いない。

— RekisyNews 経済面 【1887年】

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