【横浜 3月21日】
開国を迫る米国東インド艦隊司令長官マシュー・ペリー提督が、本日、横浜村の応接所に設けられた庭園にて、幕府役人らを前に模型の蒸気機関車の運転を披露した。これは日本で初めて本格的な蒸気機関が公開走行した瞬間であり、立ち会った人々はその轟音とスピードに驚愕の色を隠せなかった。
披露されたのは実物の4分の1サイズの模型だが、石炭を燃やし煙を吐いて円形の線路を走る姿は圧巻であった。好奇心旺盛な日本側の役人の中には、屋根にまたがって乗車を試みる者も現れ、その滑らかな動きに感嘆の声を上げたという。ペリー提督は、この文明の利器を見せつけることで、アメリカの圧倒的な技術力を誇示し、交渉を有利に進める狙いがある。
黒船という巨大な鉄の塊に続き、陸上を駆ける蒸気の力。本日横浜の土を叩いた鉄輪の響きは、長く続いた鎖国の眠りを完全に覚ます警笛となった。この「小さな模型」との遭遇が、やがて日本中に鉄道が敷設される未来へと繋がる、文明開化の第一歩となったことは疑いようがない。
— RekisyNews 社会面 【1854年】
