【ボストン 3月20日】
米国の作家ハリエット・ビーチャー・ストウ夫人の著作『アンクル・トムの小屋(Uncle Tom’s Cabin)』が本日、単行本として刊行された。すでに雑誌での連載中から大きな反響を呼んでいた本作は、南部における奴隷制の残酷な実態と、キリスト教的愛の尊さを鮮烈に描き出し、全米の良心を揺さぶっている。
物語は、深い信仰心を持つ黒人奴隷のトムが、翻弄される運命の中でも気高く生きる姿を追っている。家族を引き裂く奴隷売買や、kといった生々しい描写は、北部の自由主義者たちの間に激しい義憤を巻き起こし、一方で奴隷制を維持する南部諸州からは猛烈な反発を招いている。
この一冊の「小説」が持つ政治的・社会的影響力は計り知れず、建国以来の火種である奴隷制を巡る議論は、もはや後戻りできない段階に達した。後年、リンカーン大統領が著者に対し「この大きな戦争(南北戦争)を引き起こした小さな女性ですね」と語ったという逸話が生まれるほど、本作はアメリカの歴史を動かす巨大な原動力になろうとしている。
— RekisyNews 文化面 【1852年】
