【テヘラン 3月19日】
イラン議会(マジュリス)は本日、国内の石油産業を全面的に国有化する法律を全会一致で可決した。これにより、長年イランの石油利権を独占してきたイギリス資本の「アングロ・イラニアン石油会社(AIOC)」は、その支配権を喪失することになる。この歴史的な決定を主導したのは、民族主義の旗手として絶大な支持を集めるモハマド・モサデク議員であり、イラン国民は「石油は我々のものだ」と歓喜に沸いている。
イランにとって石油は国家財政の要であるが、これまでは不平等な契約により、莫大な利益の大部分がイギリス側へ流れていた。モサデク氏は「資源主権の回復こそが真の独立である」と訴え、国民のナショナリズムを点火させた。しかし、イギリス政府はこの決定を「国際法違反」として激しく非難。軍事介入の示唆や経済封鎖をちらつかせており、中東の安定を揺るがす深刻な国際紛争へ発展する懸念が高まっている。
この中東初ともいえる大胆な資源国有化は、周辺の産油国にも大きな影響を与えることは必至だ。欧米諸国による資源支配の終焉を告げる号砲となるのか、あるいは大国の圧力を受けて混迷を極めるのか。テヘランの空には、誇り高き民族の自尊心と、迫りくる国際政治の暗雲が入り混じっている。
— RekisyNews 経済面 【1951年】
