【岡山 3月18日】
視覚障害者の安全な歩行を助ける画期的な発明が、本日ついに実用化された。岡山県岡山市の中区にある国道250号(原尾島交差点)の横断歩道付近に、世界で初めてとなる「点字ブロック(視覚障害者誘導用ブロック)」が230枚設置された。これは地元・岡山で旅館業を営む傍ら、発明家としても活動する三宅精一氏が、友人の視覚障害者の苦労を目の当たりにして独力で考案したものである。
設置されたブロックは、鮮やかな黄色を基調とし、表面には直径約2センチの突起が並んでいる。この突起を足の裏や白杖で感知することで、横断歩道の手前などの「危険な場所」や、進むべき「方向」を知らせる仕組みだ。これまでは周囲の音や勘に頼らざるを得なかった視覚障害者にとって、足元から伝わる情報は「黄金の道」にも等しい福音となる。
三宅氏は私財を投じて「安全交通試験研究センター」を設立し、数年の歳月をかけてこの形状を完成させた。当初は「歩行の邪魔になる」との偏見もあったが、岡山市や警察当局の理解を得て、本日の試験的設置に漕ぎ着けた。三宅氏は「点字ブロックが普及することで、一人でも多くの盲人が街を安全に歩けるようになってほしい」と、設置されたばかりのブロックを前に万感の思いを語った。
岡山から始まったこのささやかな黄色い道は、今後日本全国、そして世界へと広がっていく可能性を秘めている。一人の発明家の情熱が、公共空間のあり方を根本から変えようとしている。バリアフリーという言葉がまだ一般的ではないこの時代に、岡山で産声を上げたこの仕組みは、真の共生社会に向けた大きな、しかし確かな一歩である。
— RekisyNews 社会面 【1967年】
