レオーノフ飛行士、史上初の宇宙遊泳 ―― 12分9秒の漂流、人類が母船を離れる

【モスクワ 3月18日】

ソ連のスぺース・プログラムが、またしても人類の歴史を塗り替えた。本日打ち上げられた宇宙船「ヴォスホート2号」に搭乗したアレクセイ・レオーノフ中佐が、高度約500キロメートルの軌道上にて、世界初となる船外活動(宇宙遊泳)に成功した。母船から命綱一本を頼りに飛び出した中佐は、漆黒の宇宙空間を約12分9秒間にわたって漂い、地球の青い輝きをその眼で直接捉えた。

遊泳中、レオーノフ中佐は胸のカメラで地球や母船の撮影を試み、その様子はソ連全土にテレビ中継された。真空の宇宙空間に生身に近い姿(宇宙服)で放り出されるという未知の体験に、世界中の科学者や市民が息を呑んで見守った。中佐は帰還後、「地球は眩いほどに美しく、宇宙は静寂そのものだった」と無線で語り、その成功を報告した。

しかし、この歴史的快挙の裏には一歩間違えば死に直結する危機があった。宇宙空間で膨張した宇宙服が障害となり、エアロックからの帰還が困難になる事態が発生。中佐は自らの判断で服内の圧力を限界まで下げるという命懸けの措置をとり、間一髪で船内へ戻ることに成功したという。

今回の成功により、ソ連はアメリカに先行して「宇宙空間での作業」が可能であることを証明した。これは将来の月面着陸や宇宙ステーション建設に向けた決定的な一歩となる。人類という種が、地球というゆりかごを離れ、文字通り宇宙の住人へと進化し始めたことを象徴する、輝かしい、そして命懸けの12分間であった。

— RekisyNews 社会面 【1965年】

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