小中学校に「道徳」週1時間の義務付け ―― 9月から全面実施、倫理観を指導

【東京 3月18日】

文部省は本日、全国の都道府県教育委員会に対し、小学校および中学校において「道徳」の時間を特設することを求める実施要綱を通達した。戦後、教育基本法の制定により修身科が廃止されて以来、道徳教育は全教科の中で行われてきたが、近年の少年の粗暴化や道徳心の欠如を懸念する声に応え、独立した時間として系統的に指導する方針へと転換した形だ。

新たな要綱によれば、道徳の時間は週1時間とし、1958年9月から全面的に実施される。指導の内容は、礼儀や誠実、友情、公徳心といった個人の倫理観から、郷土を愛する心や国際理解に至るまで多岐にわたる。文部省側は「民主的な社会を築くために不可欠な、豊かな人間性と正しい倫理観を育むことが目的だ」と説明している。

しかし、この決定に対しては教育現場や有識者から懸念の声も上がっている。一部の教育団体は、「特定の価値観の押し付けになり、かつての修身科の復活につながるのではないか」と批判。教員の間でも、既存の教科との時間配分や評価の難しさを指摘する意見が出ている。また、多様な生き方が認められる現代において、画一的な道徳観を国が通達することの是非を巡る議論も熱を帯びている。

敗戦後の混乱から復興へと向かう日本において、子供たちの心の教育をどうあるべきか。本日の通達は、学校教育のあり方を根本から問い直す大きな転換点となるだろう。各学校では、9月の実施に向けて教材の選定や指導計画の策定が急がれることになるが、教室でどのような「善」が語られるのか、国民の関心が集まっている。

— RekisyNews 社会面 【1958年】

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