【東京 3月17日】
アサヒビールは本日、日本、そして世界で初となる「辛口(ドライ)」をコンセプトにした新商品「アサヒスーパードライ」を、東京都および周辺地域で地域限定発売を開始した。長年、重厚な苦味とコクが主流であった日本のビール市場において、「さらりとした飲み口」と「キレ」を強調したこの新商品は、消費者の嗜好の変化を鋭く捉えた野心作として注目を集めている。
開発のきっかけは、同社が実施した大規模な市場調査であった。消費者が求める「ビールの本質」が、食事に合い、喉越しが良く、何杯でも飲める「辛口」にあると確信した同社は、発酵度を高めることで糖分を極限まで減らし、アルコール度数を従来の4.5%から5%に引き上げた。さらに、パッケージには銀色を基調とした洗練されたデザインを採用。これまでのビールのイメージを覆すクールな外観は、都市部の若者やビジネスマンの感性に訴えかける狙いがある。
発表会に登壇した樋口廣太郎社長は、「わが社の社運をかけた商品だ。これまでのビールの常識を塗り替えてみせる」と力強く宣言。現在、ビール業界でのシェアが低迷している同社にとって、スーパードライは文字通り「背水の陣」の切り札である。先行試飲会では「水のように飲める」「これまでにない爽快感」と極めて高い評価を得ており、本日からの店頭販売での反応が期待されている。
本日の首都圏発売を皮切りに、同社は順次全国展開を進める予定だ。この「ドライ」という新たなカテゴリーが、先行する競合他社を脅かす巨大な旋風を巻き起こすのか。日本のビール文化が、今まさに歴史的な転換点を迎えようとしている。
— RekisyNews 経済面 【1987年】
