【パリ 8月30日】
本日午前、ドイツ帝国軍所属の単発機がパリ上空に侵入し、爆弾を投下した。投下数は4発と見られ、死者1名、負傷者数名が確認されている。市街の一部で小規模な火災が発生したが、大きな軍事施設への損害はなかった。パリ市内が直接爆撃を受けるのは史上初めてで、市民の間に動揺が広がっている。
現地時間午前8時過ぎ、低空を飛行するドイツ製単葉機が北方から市街地へ侵入。機体から小型爆弾を投下し、セーヌ川周辺で爆発音が響き渡った。警鐘が鳴り響く中、市民は屋内に避難し、周囲は一時混乱に包まれた。
現場にいた商店主の男性は「空から爆弾が落ちてくるなど想像もしなかった」と語り、初めての空襲に怯える声が相次いでいる。
フランス政府はただちに軍高官を招集し、パリ防空体制の強化を指示した。軍関係者によると、ドイツ軍の狙いは戦意低下を狙った心理的効果と見られる。飛行機による爆撃はこれまで前線の偵察を中心に行われてきたが、今回の攻撃は民間都市を標的とした初の事例とされ、戦争の様相が新たな局面を迎えたことを示している。
ドイツ側は正式な声明を出していないが、ベルリンの一部報道は「敵首都に打撃を与えた」と伝えており、フランス国内での警戒は一段と高まっている。市当局は市民に冷静な行動を呼びかける一方で、防空訓練や地下避難所の整備を急ぐ方針を固めた。
空からの脅威にさらされたパリ。街は不安の影を帯びつつも、住民たちは毅然とした姿勢を保とうとしている。
— RekisyNews 国際・戦況面 【1914年】