【カーソンシティ 3月17日】
全米が世界恐慌の泥沼に喘ぐ中、ネバダ州議会は本日、賭博(ギャンブル)を全面的に合法化する法案を可決、知事の署名により成立した。禁酒法時代に地下へと潜り込み、犯罪組織の資金源となっていた賭博をあえて公認することで、州政府は免許料や税収という形で直接的な財源を確保する狙いだ。この前代未聞の「社会実験」とも言える決断は、他州から「道徳的退廃」との厳しい批判を浴びる一方で、破綻寸前の州財政を救う究極の選択として大きな波紋を広げている。
かつて銀の採掘で栄えたネバダ州も、現在は主要産業の低迷により深刻な不況に陥っている。州政府はこの窮地を脱するため、賭博に加えて離婚手続きの簡素化などの大胆なリベラル政策を打ち出しており、全米から「自由」を求める人々を呼び寄せ、観光需要を喚起しようとしている。特に、現在建設が進められている巨大プロジェクト「フーバー・ダム」の作業員たちが、近隣のラスベガスなどの都市で余暇を過ごす際の経済効果は、州の復興を加速させる重要な鍵になると期待されている。
しかし、合法化に伴う治安の悪化や、犯罪シンジケートのカジノビジネスへの参入を危惧する声も根強く、当局は厳格な免許制度の運用を強調している。道徳的な是非を巡る議論は依然として続いているが、背に腹は代えられない州財政の現実が、法律の壁を突き崩した形だ。砂漠に囲まれたこの荒野の州が、賭博という特殊な産業を軸に、全米の注目の的となる「不夜城」へと変貌を遂げるのか。大恐慌下におけるネバダ州の挑戦は、アメリカの新たな経済モデルを提示しようとしている。
— RekisyNews 社会面 【1931年】
