【大阪 3月17日】
明治新政府は本日、混迷を極める貨幣制度の抜本的な改革を目指し、大阪の地に造幣局(当初は貨幣司の廃止に伴う造幣局の新設)を設置することを決定した。幕末以来、国内では各藩が発行した藩札や質の悪い貨幣が流通し、経済の安定を著しく阻害してきた。新政府は、欧米諸国に比肩する近代国家としての信用を確立するため、最新の西洋式技術を用いた貨幣鋳造工場の建設が急務であると判断したものである。
建設予定地には、水運の利が良く物流の拠点である大阪・川崎の地が選ばれた。この巨大プロジェクトの推進にあたっては、薩摩藩出身の五代友厚らが尽力し、英国の建築技師ウォートルスが設計を担当。鋳造設備についても、英国商人トーマス・グラバーの仲介により、香港造幣局で使用されていた最新の機械一式を買い取る契約が結ばれている。単なる貨幣の製造に留まらず、硫酸やガス灯の製造といった化学・工業技術の導入も計画されており、大阪が日本の近代工業の先駆けとなることが期待されている。
本日の官制刷新により、それまでの不十分な体制であった貨幣司は廃止され、より強固な組織としての造幣局がその役割を担うこととなる。本格的な開業までにはなお数年の歳月を要する見込みだが、この決定は、円滑な経済活動の基盤となる「統一通貨」への確かな第一歩である。旧来の複雑な通貨体系を脱却し、全国で通用する良質な画一貨幣が流通する日は、そう遠くない。新政府の威信をかけたこの事業は、富国強兵を掲げる日本の未来を大きく左右することになるだろう。
— RekisyNews 経済面 【1869年】
