【長崎 3月17日】
本日、長崎・南山手の大浦天主堂にて、宗教史上極めて驚くべき、そして感動的な出来事が発生した。浦上村の住民とみられる一団が天主堂を訪れ、フランス人司教ベルナール・プティジャン神父に対し、自らがキリスト教徒(キリシタン)であることを告白。徳川幕府による二百数十年もの苛烈な禁教政策の下で、信仰が密かに、しかし確実に守り継がれていたことが判明した。
訪れたのは十五名ほどの男女で、聖母マリア像の前に跪き、プティジャン神父に「ワタシノムネ、アナタノムネトオナジ(私たちの心は、あなたの心と同じです)」と囁いたという。彼らはさらに、「サンタ・マリアの御像はどこ?」と尋ね、自分たちが遠い先祖から受け継いだ信仰を維持していることを神父に確認させ、プティジャン神父は深い感動に包まれた。
この「信徒発見」は、キリスト教が日本から絶滅したと信じていた西洋諸国に大きな衝撃を与えることは必至だ。禁教令の下、隠れて信仰を告白するという行為は、彼らにとって命がけの決断であった。依然として日本ではキリスト教は国禁であり、浦上の信徒たちの身辺には、幕府や長崎奉行所による弾圧の危険が常に付きまとっている。
信仰を巡る新たな苦難の予感の中、長崎の丘には静かな、しかし確かな祈りの声が響いている。この奇跡的な再会は、今後の日本の宗教政策、さらには外交関係にも影響を与える可能性がある。
— RekisyNews 社会面 【1865年】
