【東京 3月16日】
本日、麒麟麦酒株式会社より、待望の新清涼飲料「キリンレモン」が発売された。市場に溢れる着色料を多用した安価な飲料とは一線を画し、人工甘味料を一切排した「無色透明」の美しさと、天然レモンの高貴な香りを追求した、まさに清涼飲料界の革命児といえる逸品である。
キリンレモンの最大の特徴は、麦酒醸造で培われた卓越した濾過技術と、厳選された原料にある。同社は「純良、かつ無害」であることを信条に、子供から大人まで安心して飲める品質を追求。透明なガラス瓶の中に閉じ込められた一筋の泡と、爽やかな酸味は、春の訪れとともに大衆の喉を潤すことだろう。
価格は一瓶15銭と、庶民の飲み物としてはやや高価な「高級品」の部類に入るが、その品質への信頼感から、百貨店や一流の喫茶店を中心に大きな反響を呼んでいる。ラベルに描かれた伝統の「麒麟」の紋章は、それが同社の誇りにかけて世に送り出されたことの証左である。
モダンボーイやモダンガールたちが銀座の街を闊歩する現代、この透明で清潔な飲料は、新しい時代の象徴となるに違いない。キリンレモンの誕生は、日本の清涼飲料史に「本物志向」という新たな一ページを刻んだ。
— RekisyNews 産業面 【1928年】
