【エルサレム 3月16日】
本日、数ヶ月にわたる包囲戦の末、ユダ王国の首都エルサレムは新バビロニア帝国の軍門に降った。帝国の絶対的支配者ネブカドネザル2世は、降伏したユダ王エホヤキンを廃位し、捕虜としてバビロンへ連行することを決定。代わりに、王の叔父にあたるマタンヤをゼデキヤと改名させ、新たな王として玉座に据えた。
バビロニア軍による略奪は神殿や王宮の宝物庫にまで及び、黄金の器物や貴重な財宝が次々と運び出されている。しかし、今回の征服における真の損失は「人」である。王エホヤキン本人に加え、王太后、宮廷の役人、そして国の防衛を担う熟練の戦士や、建築・冶金に携わる数千人の工匠たちが、鎖に繋がれバビロンへの長い行軍を強いられている。
この大規模な連行は、ユダ王国の再起を根底から封じ込めるネブカドネザル王の高度な政治的策略とみられる。預言者らの一部は「これは神の怒りである」と民に説いているが、灰色の空の下、住み慣れた土地を追われる捕囚たちの列は延々と続き、エルサレムにはすすり泣く声だけが響いている。
新王ゼデキヤはバビロンへの忠誠を誓わされているが、指導層の多くを失った王国の先行きは極めて不透明だ。エジプトとの同盟を画策する過激派の動きもあり、この「第一次捕囚」が、聖なる都の完全な滅亡に向けた序曲に過ぎないのではないかとの懸念が広がっている。
— RekisyNews 国際面 【紀元前597年】
