堀江謙一氏、超小型ヨットで太平洋横断成功 27年越し単独往復を達成

【西宮 8月30日】

世界的なヨット冒険家である堀江謙一氏(51)が、本日午前、兵庫県西宮市の新西宮ヨットハーバーに到着し、超小型ヨットによるアメリカ・サンフランシスコからの太平洋横断を成し遂げた。1962年の単独往路から27年を経て、悲願の単独往復達成となった。

今回使用したヨットは、全長わずか5.8メートルの超小型艇「マーメイド号」。堀江氏は6月下旬に米サンフランシスコを出航し、約8,000キロの航海をおよそ94日間かけて乗り切った。途中、強風と高波に翻弄される過酷な環境が続き、嵐で進路を大きく外れることもあったという。それでも堀江氏は、最新型の自動操舵装置を駆使し、食料を節約しながら航海を続けた。

午前10時過ぎ、港に姿を現した「マーメイド号」を見守る数百人の市民からは大きな歓声が上がった。家族や仲間に迎えられた堀江氏は、深く日焼けした顔で「27年越しの夢をやっと果たせた。太平洋はやはり手強かった」と声を震わせた。

今回の達成により、堀江氏は単独での太平洋往復という世界的にもまれな記録を打ち立てた。海洋冒険界では「再び歴史を塗り替えた快挙」と称賛の声が広がっている。

西宮港の空には、祝賀の紙テープと風に揺れる旗が舞い、到着を祝う市民たちの拍手が鳴り止まなかった。27年越しの航跡は、挑戦の象徴として多くの人々の胸に刻まれるだろう。

— RekisyNews 社会・スポーツ面 【1989年】

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