【ニューメキシコ州コロンバス 3月15日】
本日、ウッドロウ・ウィルソン大統領の断固たる命令の下、ジョン・パーシング少将率いるアメリカ陸軍遠征部隊が、メキシコ国境を越えて南進を開始した。去る3月9日、メキシコの革命指導者パンチョ・ビリャ率いる軍勢が我が国コロンバスの町を襲撃し、罪のない市民を殺害した暴挙に対し、合衆国はついに武力による報復と首謀者拘束へと踏み切った。
遠征軍の規模は約1万2000人に上り、騎兵隊、歩兵隊に加え、特筆すべきは最新鋭の軍用トラックや偵察用の複葉機(第1航空隊)が配備されている点だ。これは米軍史上、機械化部隊を本格的に実戦投入する初の試みとなる。パーシング少将は出発に際し、「正義が果たされるまで、この追跡に終わりはない」と、荒野の逃亡者ビリャの徹底追及を誓った。
メキシコ国内は革命の動乱期にあり、カランサ政権との外交関係も極めて微妙な状況にあるが、ウィルソン政権は「自衛権の行使」を大義名分に掲げ、侵攻を正当化している。遠征軍の中には、若きジョージ・パットン少尉らの姿もあり、広大なチワワ州の砂漠地帯を舞台にした過酷な追跡劇が予想される。
しかし、民衆の英雄として知られるビリャは地形を知り尽くしており、ゲリラ戦を展開することが懸念される。欧州で第一次世界大戦の戦火が拡大する中、隣国メキシコでの軍事介入が泥沼化すれば、米国の国際戦略にも大きな影響を与えることは避けられない。星条旗を掲げた1万の軍勢が、砂塵の舞うメキシコの大地でどのような運命を辿るのか、全米が注視している。
— RekisyNews 国際面 【1916年】
