【東京 3月15日】
本日、東京株式市場は取引開始とともに売り注文が殺到し、株価は空前の大暴落を記録した。第一次世界大戦勃発以来、日本経済を空前の熱狂に包んできた「大戦景気」のバブルは、ついに音を立てて崩壊した。市場はパニック状態に陥り、兜町界隈には蒼白な顔の投資家たちが詰めかけている。
今回の暴落の背景には、欧州諸国の生産活動が戦後の復興とともに回復し、日本の輸出が激減したことによる大幅な貿易赤字がある。さらに、政府による金融引き締めが追い打ちをかけ、過剰な投機に依存していた市場の脆弱性が一露呈した形となった。昨日までの「船成金」や「鉄成金」の栄華は、一夜にして幻と消えようとしている。
影響は株式市場に留まらない。本日以降、過剰在庫を抱えた繊維業界や商社を中心に経営危機が表面化するとみられ、地方銀行の資金繰り悪化も懸念されている。経済界の識者は「これは一時的な調整ではなく、深刻な『戦後恐慌』の幕開けである」と警鐘を鳴らしている。
大戦中の「成金」ブームに象徴された成金趣味の生活はもはや維持できず、都市部では失業者の増加が予測される。政府は銀行への救済融資などの対策を検討しているが、長引く不況の影は、大正デモクラシーの華やかさの裏で着実に色を濃くしている。
— RekisyNews 経済面 【1920年】
