【大阪 3月14日】
薬害エイズ訴訟の被告となっている医薬品メーカー、株式会社ミドリ十字の松下廉蔵社長ら首脳陣3名が本日午後、大阪市内のホテルで原告団と対面。非加熱血液製剤によって多くの血友病患者らがHIVに感染したことについて、同社として初めて全面的に責任を認め、公式に謝罪した。
会見の場で、松下社長らは「当社の不徳の致すところであり、心よりお詫び申し上げます」と述べ、床に膝をつき頭を下げる「土下座」の姿勢で謝罪の意を示した。同社はこれまで、感染の予見可能性を巡って法廷で争う姿勢を崩していなかったが、厚労省内での秘密資料の発見や世論の猛烈な批判を受け、事実上の「敗北」を認める形となった。
原告側は、謝罪を受け入れつつも「謝って済む問題ではない。失われた命は二度と戻らない」と厳しく指摘。同社が加熱製剤の承認後も、利益のために危険な非加熱製剤の在庫を売り続けた「不作為の罪」を改めて追及した。この謝罪は、3月下旬に予定されている訴訟の「和解」に向けた決定的な一歩となる。
薬害エイズ事件は、行政、医師、製薬企業の三者が密接に絡み合い、防げたはずの被害を拡大させた戦後最大の公害・薬害の一つである。ミドリ十字の謝罪は、利益至上主義に陥った企業のモラルを問い直す象徴的な出来事として、社会に深い衝撃を与えている。
— RekisyNews 社会面 【1996年】
