【バチカン/ベルリン 3月14日】
本日、ローマ教皇ピウス11世は、ナチス・ドイツ政府によるカトリック教会への弾圧と人種政策を正面から告発する回勅『ミット・ブレネンデル・ソルゲ(燃えるような憂慮をもって)』を発した。この文書は、通常使用されるラテン語ではなく、ドイツの信徒へ直接語りかけるべくドイツ語で記されるという、極めて異例かつ断固たる形式をとっている。
回勅の中で教皇は、ナチス政府が1933年に結んだ「帝国コンコルダート」を組織的に踏みにじっていると断じた。さらに、特定の「人種」や「民族」を神格化し、キリスト教の教義よりも国家の価値を上位に置くナチズムの本質を「偶像崇拝であり、神の秩序への反逆である」と厳しく糾弾した。
この回勅の配布は、秘密警察(ゲシュタポ)の目を盗み、極秘裏に進められた。本日、ドイツ全土の約1万1,500の教会において、神父たちが演壇からこの抗議の声を一斉に朗読した。ベルリンの政府当局は、この予期せぬ「教会の反乱」に激怒していると伝えられており、今後、カトリック関係者への弾圧がさらに激化することが懸念される。
ピウス11世は、病床にありながらも「沈黙することは罪である」としてこの回勅の起草を急いだという。人種主義という「暗雲」がヨーロッパを覆う中、バチカンが示したこの道徳的拒絶は、国際社会におけるナチス・ドイツの孤立を深める決定的な一石となるだろう。
— RekisyNews 社会面 【1937年】
